ウェアラブル元年が来るーーー!?

新年明けましておめでとうございます。 今年はApple Watchが発売される予定ですし、いよいよウェアラブルデバイス市場が盛り上がってくる予感がしています。 新年一発目のテーマとして、Salesforce Wearについて取り上げたいと思います。 私自身、右腕にはSONYのSmart Band、左腕にはmoto360を常に身に着けて、ウェアラブルデバイスのある生活が当たり前のものとなりました。

現在市場に出回っているウェアラブルデバイスはスマートフォンと連携して動作するものが殆どですが、通知やその応答をスマートフォンをいちいち取り出してロックを解除しなくても、左腕ですぐに確認できたり、毎日の歩数や心拍数、睡眠時間などの活動量が日々蓄積されていったり、そうした生活が当たり前になると、バッテリーが切れて使えなくなったりした時には不自由に感じるものです。 今後はスマートフォンとの連携無しでも単体で動作したり、もっと多様なセンサーを搭載したデバイスが増えていくことでしょう。 Salesforceも昨年6月にSalesforce Wearというウェアラブルデバイス向けのエンタープライズアプリ開発キットを発表しています。

SalesforceWear

9月には対応デバイスを更に広げました。以下は現在サポートされているデバイスです。

  • Google Glass
  • Android Wear
  • Sumsung Gear2
  • Myo
  • Nymi
  • Pebble
  • UP by Jawbone
  • Epson Moverio BT-200
  • Vuzix M100 Smart Glasses
  • Oculus Rift
  • Meta Glasses

日本ではマイナーなデバイスも含め、全方位的に多種多様なデバイスに対応しています。今年はApple Watchにも対応するでしょう。 昨年のDreamforceでもウェアラブル関連のセッションも多く、Salesforce社がウェアラブルデバイスの活用に注目していることが伝わってきました。 では、Salesforce Wearによって一体どんなことを実現しようとしているのでしょう。 Salesforce社がSalesforce Wearのデモ動画をいくつか公開しています。

Salesforce Wearデモ Googleグラス編

フィールドエンジニアに対し、Googleグラスを使って、現場での機器の点検手順や、点検結果の記録を行うデモです。 最近はフィールド業務にiPadなどのモバイル機器を活用したいといったニーズも多いですが、タブレットに比べてグラスを使うことで、視界に手順を表示しながらの作業が行えることで、作業効率が上がるといった効果を狙っているのでしょう。 また、作業の証跡として、エンジニアの作業している視界を動画として記録を残すようなことも出来そうです。

Salesforce Wearデモ Android Wear編

Android Wearに届いた承認申請をWear上だけで理由を入力して却下し、再申請を今度はスマートフォン上で開いて確認をするデモです。 スマートフォンを取り出さなくても、その場で概要を確認でき、承認もしくは却下することができます。 Apexトリガーから通知を送信すると、Google Cloud Messaging(GCM)に対し、通知が送信され、GCMを受信したスマートフォンを経由して、Android Wear端末に対して、通知が表示されます。通知された承認申請に対する承認や却下といった応答はREST API経由でSalesforceへと返されます。

こうして見ると、エンタープライズ向け、ということでフィールド業務や営業マネージャ業務を意識したデモですね。

ハンズフリーで作業が出来たり、素早く通知を確認して応答出来たりするというのは、ウェアラブルデバイスの利点の1つだとは思いますが、私としては、活動量等のこれまではデータ化がされていなかった領域のデータ化が可能になるところに大きな可能性を感じています。

例えばGoogleはAndroid WearのSDKの他に、Google Fit SDKを公開しており、心拍数や歩数などのデータを外部アプリケーションやサービスと連携することが可能です。 会員顧客よりこうしたデータを収集することで新たなサービスやマーケティングに生かすことが出来ると思います。

まず挙がるのはスポーツ関係や医療・介護サービスといった領域でしょう。 ユーザの運動量を元にトレーニングプランを提供したり、見守りサービスや緊急時の駆けつけ等、生体データを取得できることで様々な広がりが出てくると思います。 血圧計や血糖値測定デバイスなどを連携させることで、高血圧や糖尿病の治療に役立てるといったことも考えられます。

旅行会社やテーマパークなどでは位置情報と活動量を収集することで、新たなイベントに役立てることが出来そうです。 コンビニや外食チェーンなどではユーザのその日の消費カロリー数を元にオススメのメニューとクーポンを提示するなども可能でしょう。

ベニオフCEOはCUSTOMER COMPANYである必要性を訴えていますが、SNSの普及によるソーシャルの波の次に、ウェアラブルデバイスにより、顧客が意識すらしなくても企業やサービスと繋がっていくという世界が近づいているように私には思えます。

先ほどのデバイスリストにも挙げたように、ウェアラブルも様々なメーカーの様々なデバイス、サービスが次々と登場し、まだまだデファクトスタンダードの定まらない過渡期にあります。スマートフォンやタブレットといったモバイル端末は2台も3台も持ち歩く人も中には居ますが、腕時計やメガネを2つも3つも身に着ける人は居ませんので、限られた指定席を奪い合うシェア争いがAppleの参入でこれから更に熾烈になっていくでしょう。 そんな中でもSalesforce Wearはマルチデバイスへの対応を進め、エンタープライズでのウェアラブル利用に積極的に取り組んでいます。

今年はウェアラブル戦争が本格化する1年になっていくと予感しています。 ウェアラブルの黎明期を抜け出した先に、どんな未来が訪れるのか、Salesforce Wearはその時どのように使われているのか、注目です。