株式会社KINTO様
KINTOがカスタマーセンターの後処理時間短縮に向けSalesforceのAIソリューションを導入─応対内容を自動で要約し、オペレーターの負荷を削減
- Service Cloud
- 100名-500名
- コンタクトセンター
- AI活用
概要
自動車保険(任意保険)やメンテナンス費用といった諸経費も月額料金に含まれたクルマのサブスクリプションサービスを展開する株式会社KINTO。同社のカスタマーセンターでは、急増する問い合わせに対し、応対履歴作成など後処理に時間がかかることが大きな課題となっていた。そこで同社では、課題解決に向け2023年から生成AIの活用を検討し、PoCを経てSalesforceのAIソリューションを導入。音声のリアルタイム文字起こしや要約の自動化により、オペレーターの後処理時間を約200秒短縮するなど、大幅な業務効率化につながっている。
後処理時間の短縮のため、AIソリューションの導入を検討
2019年、トヨタグループが「所有から利活用へ」という市場の変化に応えるべく設立した株式会社KINTO。車両代金だけでなく、自動車保険(任意保険)、登録諸費用、メンテナンス、税金などをパッケージ化した、"クルマのサブスクリプション"サービスを展開している。
サービスの急成長に伴い申込数が右肩上がりで推移するなか、問い合わせも比例して急増し、同社のカスタマーセンターでは業務負荷が高まっていた。加えて、さまざまなジャンルのサブスクリプションサービスがある中で、クルマのサブスクリプションは比較的高額なサービスのため、誤った応対が大きなトラブルにつながる恐れがあり、オペレーターの心理的な負担も増大していた。お客様サポート部 主幹の平井 宏樹 氏は、同社のカスタマーセンターで抱えていた課題について次のように語る。
「カスタマーセンターのオペレーションを回していくうえでは、問い合わせ応対を履歴として残すことが大切です。VoC(Voice of Customer:顧客からの声)は企業にとっての財産であり、サービスの継続的な改善につながります。当社のカスタマーセンターにおいても、応対履歴を残すようにしていましたが、応対後に履歴を残す作業、いわゆる後処理時間が長くなってしまうという課題が顕在化していました。また、顧客応対中にFAQなどのナレッジを検索することにも時間がかかっており、業務フローの整理と抜本的な改善が急務となっていました」(平井氏)
サービスの急成長に伴い申込数が右肩上がりで推移するなか、問い合わせも比例して急増し、同社のカスタマーセンターでは業務負荷が高まっていた。加えて、さまざまなジャンルのサブスクリプションサービスがある中で、クルマのサブスクリプションは比較的高額なサービスのため、誤った応対が大きなトラブルにつながる恐れがあり、オペレーターの心理的な負担も増大していた。お客様サポート部 主幹の平井 宏樹 氏は、同社のカスタマーセンターで抱えていた課題について次のように語る。
「カスタマーセンターのオペレーションを回していくうえでは、問い合わせ応対を履歴として残すことが大切です。VoC(Voice of Customer:顧客からの声)は企業にとっての財産であり、サービスの継続的な改善につながります。当社のカスタマーセンターにおいても、応対履歴を残すようにしていましたが、応対後に履歴を残す作業、いわゆる後処理時間が長くなってしまうという課題が顕在化していました。また、顧客応対中にFAQなどのナレッジを検索することにも時間がかかっており、業務フローの整理と抜本的な改善が急務となっていました」(平井氏)
株式会社KINTO お客様サポート部 主幹 平井 宏樹 氏
さまざまな業界のカスタマーセンターにおいて、人材不足は深刻な課題である。同社においても例外ではなく、限られた人的リソースでサポート業務品質を担保するためには、時短や効率化につながる抜本的な改善が不可欠だった。打開策を模索する中で、平井氏は2023年から生成AIを活用した応対履歴の要約に着目したという。
「これまでも応対内容のテキスト化は行っていたのですが、全文を残していたのでは、あとから参照するときに時間と手間がかかってしまいます。どうすれば参照しやすい履歴として残せるかを模索した結果、近年のビジネストレンドでもあるAIを活用して簡潔な内容に要約することで、後処理やナレッジ参照に費やす時間を短縮できるのではと考えました」(平井氏)
「これまでも応対内容のテキスト化は行っていたのですが、全文を残していたのでは、あとから参照するときに時間と手間がかかってしまいます。どうすれば参照しやすい履歴として残せるかを模索した結果、近年のビジネストレンドでもあるAIを活用して簡潔な内容に要約することで、後処理やナレッジ参照に費やす時間を短縮できるのではと考えました」(平井氏)
使い勝手を考慮して、Service Cloud上で操作できるAIソリューションを選定
こうして、AIを活用した問い合わせ応対業務の効率化プロジェクトを立ち上げた同社は、AIソリューション、およびパートナーの選定に着手した。カスタマーセンターの基幹システムとして「Salesforce Service Cloud」を導入していたこともあり、Service Cloud上で機能するAIソリューションを中心に検討が進められたという。
「以前は基幹業務システムであるService Cloud、文字起こしツール、チャットボットが分断されており、オペレーター目線でのユーザビリティに課題がありました。今回複数のベンダーから提案いただきましたが、依然として各ツールを個別に組み合わせた構成でした。そのような中で、セールスフォース・ジャパンからの提案は、複数のAIソリューションをすべて Service Cloud上で操作できるという点が魅力的でした。プロジェクトの目的であるオペレーターの負荷軽減に最適と判断し、Service Cloud上で利用できるAIソリューションの導入を決定しました」(平井氏)
パートナーとしては、2020年に同社にService Cloudを導入したテラスカイを選定。カスタマーセンターの基幹システム構築・カスタマイズを行ってきた実績と技術力を評価したと平井氏は説明する。
「今回のプロジェクトでは、チャットツールや文字起こし、要約ツールといった既存のツールを刷新することになるため、基幹システムへの影響を考慮したシステム導入が求められました。その意味でも、弊社カスタマーセンターにおけるService Cloudの導入・運用に深く関わっているテラスカイなら、安心してお願いできると判断しました」(平井氏)
「以前は基幹業務システムであるService Cloud、文字起こしツール、チャットボットが分断されており、オペレーター目線でのユーザビリティに課題がありました。今回複数のベンダーから提案いただきましたが、依然として各ツールを個別に組み合わせた構成でした。そのような中で、セールスフォース・ジャパンからの提案は、複数のAIソリューションをすべて Service Cloud上で操作できるという点が魅力的でした。プロジェクトの目的であるオペレーターの負荷軽減に最適と判断し、Service Cloud上で利用できるAIソリューションの導入を決定しました」(平井氏)
パートナーとしては、2020年に同社にService Cloudを導入したテラスカイを選定。カスタマーセンターの基幹システム構築・カスタマイズを行ってきた実績と技術力を評価したと平井氏は説明する。
「今回のプロジェクトでは、チャットツールや文字起こし、要約ツールといった既存のツールを刷新することになるため、基幹システムへの影響を考慮したシステム導入が求められました。その意味でも、弊社カスタマーセンターにおけるService Cloudの導入・運用に深く関わっているテラスカイなら、安心してお願いできると判断しました」(平井氏)
PoCでAIの効果を検証後、本格導入へ
今回のプロジェクトでは、電話応対の内容をリアルタイムで文字起こしする「Salesforce Voice」、生成AIによって文字起こし内容を要約する「Einstein for Service」、有人チャットを構築する「Digital Engagement」、生成AIを搭載した高度な自動応答ボットである「Einstein Bot」の導入が進められることとなった。
AIの導入効果が未知数だったこともあり、まずは費用対効果を検証するためのPoCからスタート。PoCでは、導入コスト、後処理で短縮された時間、削減可能なリソースをシミュレーションで算出し、目標としていた数値を上回る結果が得られたという。
「AIに限った話ではありませんが、新しいプロジェクトを進める際には、導入によるメリットを明示できなければ先へは進めません。特にカスタマーセンターはコストの部分を厳しく見られる部門なので、2024年10月~12月まで3カ月間にわたりPoCを実施し、導入効果の検証を行いました。かなりタイトなスケジュールでしたが、テラスカイのサポートもあり、本番導入につながる導入効果が確認できました」(平井氏)
PoCを開始した当初は、応対内容が要約され過ぎて具体的な内容が把握できないという問題が発生していたが、AIに対して出力の条件や形式を細かく指定する「プロンプト」を繰り返し修正することで調整を図った。プロンプトの修正については、テラスカイのエンジニアが現場の応対履歴の特性を分析し、最適な要約精度を引き出すためのプロンプトエンジニアリングを同社とともに二人三脚で実施した結果、最終的に求めていた結果を得られたという。
「たとえば、『ログインできない』という問い合わせに対する応答が『ログイン方法を案内』と要約されてしまい、原因の特定や具体的な対応策が把握できない内容になっていました。これでは履歴として残しても意味はなく、ナレッジとして参照することもできません。そこで履歴として残しておくべきことを改めて定義し、必要な情報が要約に含まれるようプロンプトを修正していきました」(平井氏)
PoCでは、実際のオペレーターに使ってもらい、率直な意見を収集したと平井氏は語る。以前のツールとの機能・操作性の違いに戸惑う声もあったものの、複数のAIソリューションをService Cloud上で操作できることは評価されたという。PoCでの苦労を振り返り、課題解決に向けたテラスカイのサポートについて、平井氏は次のように言及する。
「今回の取り組みは、ボイス領域のAI活用という、セールスフォース・ジャパンとしても前例が少ないケースだったと思われます。テラスカイとしても実績やノウハウがない部分もあったかと思いますが、そのなかで想定外の動作やエラーが生じた際には、非常に真摯にサポートいただきました。複数のAIソリューションの導入・インテグレーションという難易度の高いミッションでありながら、セールスフォース・ジャパンとも密に連携し、PoCで未踏の技術課題を一つひとつ解消していただけたことで、本番実装にたどり着けたと感謝しています」(平井氏)
AIの導入効果が未知数だったこともあり、まずは費用対効果を検証するためのPoCからスタート。PoCでは、導入コスト、後処理で短縮された時間、削減可能なリソースをシミュレーションで算出し、目標としていた数値を上回る結果が得られたという。
「AIに限った話ではありませんが、新しいプロジェクトを進める際には、導入によるメリットを明示できなければ先へは進めません。特にカスタマーセンターはコストの部分を厳しく見られる部門なので、2024年10月~12月まで3カ月間にわたりPoCを実施し、導入効果の検証を行いました。かなりタイトなスケジュールでしたが、テラスカイのサポートもあり、本番導入につながる導入効果が確認できました」(平井氏)
PoCを開始した当初は、応対内容が要約され過ぎて具体的な内容が把握できないという問題が発生していたが、AIに対して出力の条件や形式を細かく指定する「プロンプト」を繰り返し修正することで調整を図った。プロンプトの修正については、テラスカイのエンジニアが現場の応対履歴の特性を分析し、最適な要約精度を引き出すためのプロンプトエンジニアリングを同社とともに二人三脚で実施した結果、最終的に求めていた結果を得られたという。
「たとえば、『ログインできない』という問い合わせに対する応答が『ログイン方法を案内』と要約されてしまい、原因の特定や具体的な対応策が把握できない内容になっていました。これでは履歴として残しても意味はなく、ナレッジとして参照することもできません。そこで履歴として残しておくべきことを改めて定義し、必要な情報が要約に含まれるようプロンプトを修正していきました」(平井氏)
PoCでは、実際のオペレーターに使ってもらい、率直な意見を収集したと平井氏は語る。以前のツールとの機能・操作性の違いに戸惑う声もあったものの、複数のAIソリューションをService Cloud上で操作できることは評価されたという。PoCでの苦労を振り返り、課題解決に向けたテラスカイのサポートについて、平井氏は次のように言及する。
「今回の取り組みは、ボイス領域のAI活用という、セールスフォース・ジャパンとしても前例が少ないケースだったと思われます。テラスカイとしても実績やノウハウがない部分もあったかと思いますが、そのなかで想定外の動作やエラーが生じた際には、非常に真摯にサポートいただきました。複数のAIソリューションの導入・インテグレーションという難易度の高いミッションでありながら、セールスフォース・ジャパンとも密に連携し、PoCで未踏の技術課題を一つひとつ解消していただけたことで、本番実装にたどり着けたと感謝しています」(平井氏)
目標の120秒を大幅に上回る、後処理時間の200秒短縮を実現
PoCによる検証結果を経て、2025年1月からリリースに向けた準備が進められ、同年4月に本番稼働を迎えた。AIソリューションによって、後処理時間を1件あたり200秒短縮することに成功するなど、確かな効果が現れている。
「本番環境の導入にあたっては、1件あたり120秒の後処理時間短縮を目標に掲げていたのですが、想定を上回る200秒の時短効果が得られています。また、PoCの段階で改善した要約の品質については、本番稼働した後でも十分とはいえない部分があり、トライアンドエラーを含めてPDCAサイクルを回し、精度を高めていきました。現在は実用に耐えうる精度で要約できるようになっており、オペレーターが手直しする必要はなくなっています」(平井氏)
「本番環境の導入にあたっては、1件あたり120秒の後処理時間短縮を目標に掲げていたのですが、想定を上回る200秒の時短効果が得られています。また、PoCの段階で改善した要約の品質については、本番稼働した後でも十分とはいえない部分があり、トライアンドエラーを含めてPDCAサイクルを回し、精度を高めていきました。現在は実用に耐えうる精度で要約できるようになっており、オペレーターが手直しする必要はなくなっています」(平井氏)
応対履歴の手入力が不要になり、顧客とのやり取りに集中できる環境が整う
AIが文字起こしや要約をサポートしてくれるようになったことで、オペレーターは履歴を残す作業をしながら応対する必要がなくなった。その結果、顧客とのやり取りに集中できるようになり、オペレーターの心理的な負担の軽減にもつながっているという。
また、AIによって応対内容がリアルタイムでテキスト化・要約されるため、応対途中でSV(スーパーバイザー)がモニタリングした際にも状況が把握しやすくなり、スムーズにフォローに入れる環境を実現できたと、平井氏は手応えを語る。
同社では、今回の取り組みの成果を踏まえ、今後もカスタマーセンター業務におけるSalesforceやAIソリューションの活用を進めていく予定だ。
「人とAIが共存する環境を目指して、人が対応すべき領域と、AIが対応すべき領域を整理していきたいと考えています。問い合わせの入口の部分でAIエージェントが対応し、会員情報や契約情報、問い合わせ内容をヒアリングしたうえでオペレーターにつなぐことができれば、応対にかかる時間を大幅に短縮できるはずです。この構想の実現に向けて、Salesforceが提供するAgentforceの活用を検討しています。テラスカイには、システムを構築するだけで終わるのではなく、Agentforceのような最新テクノロジーをいち早く実務に落とし込める唯一無二のパートナーとして期待しています」(平井氏)
また、AIによって応対内容がリアルタイムでテキスト化・要約されるため、応対途中でSV(スーパーバイザー)がモニタリングした際にも状況が把握しやすくなり、スムーズにフォローに入れる環境を実現できたと、平井氏は手応えを語る。
同社では、今回の取り組みの成果を踏まえ、今後もカスタマーセンター業務におけるSalesforceやAIソリューションの活用を進めていく予定だ。
「人とAIが共存する環境を目指して、人が対応すべき領域と、AIが対応すべき領域を整理していきたいと考えています。問い合わせの入口の部分でAIエージェントが対応し、会員情報や契約情報、問い合わせ内容をヒアリングしたうえでオペレーターにつなぐことができれば、応対にかかる時間を大幅に短縮できるはずです。この構想の実現に向けて、Salesforceが提供するAgentforceの活用を検討しています。テラスカイには、システムを構築するだけで終わるのではなく、Agentforceのような最新テクノロジーをいち早く実務に落とし込める唯一無二のパートナーとして期待しています」(平井氏)
【本事例の導入製品・サービス】
Salesforce開発・支援サービス
テラスカイは、Salesforceの導入からSalesforce Platform上での複雑なアプリケーション開発まで、豊富な導入・開発実績があります。お客様が課題に感じられる他システムとの連携についても、クラウド/オンプレミスを問わず多くのシステムとの連携実績があり、最適なシステム連携のご提案をします。
テラスカイは、Salesforceの導入からSalesforce Platform上での複雑なアプリケーション開発まで、豊富な導入・開発実績があります。お客様が課題に感じられる他システムとの連携についても、クラウド/オンプレミスを問わず多くのシステムとの連携実績があり、最適なシステム連携のご提案をします。
会社プロフィール
株式会社様KINTO様
- 所在地:
- 愛知県名古屋市中村区名駅四丁目8番18号 名古屋三井ビルディング北館
- 事業概要:
- 自動車保険(任意保険)やメンテナンス費用など諸経費が月額料金に含まれたクルマのサブスクリプションサービスを中心に、さまざまなモビリティ関連サービスを展開


