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freee株式会社様

Salesforceをプラットフォームにして金融機関と連携!
スモールビジネス向けの少額融資サービスを実現

  • Salesforce Platform
  • IT・コンサルティング
  • 500-5,000名
  • 社内外との情報共有

導入背景

クラウド会計ソフトで知られるfreeeは、2019年6月から中小企業向けの金融サービス「資金繰り改善ナビ」をスタートさせた。これは、資金繰り残高の予測から資金調達までを網羅したサービスだ。資金繰り改善ナビの機能のひとつ「オファー型融資」では「会計freee」に蓄積されたデータを元に、借入可能額などが自動的に試算され、Web上でそのまま金融機関へ融資の申し込みができる。このサービスの実現にはどのような背景があったのだろうか。

スモールビジネスの成長を阻害する「資金繰り問題」に着目

freee株式会社プロダクト戦略本部Product Manager鬼木 洋平 氏の写真

freee株式会社
プロダクト戦略本部Product Manager
鬼木 洋平氏

「スモールビジネスを、世界の主役に。」というミッションを掲げてfreeeが創業したのは2012年。中小企業やスタートアップ企業が創造的業務にフォーカスできるように、バックオフィスの自動化を徹底的に追求してきた。既に会計・人事労務の分野ではクラウドサービスを大々的に展開している。「クラウド会計ソフト freee(以下、会計freee)」の利用事業者は100万を超え、中小企業分野ではシェアNo.1となる。
そんな同社が次なるスモールビジネスの問題として着目したのが「資金繰り」だった。 経営者の資金繰りに関する悩みについて、freee株式会社プロダクト戦略本部ProductManager鬼木洋平氏は、実際に十数社の中小企業を訪ね歩いてヒアリングしたという。
『業務用冷蔵庫が突然壊れてしまった』『外国人観光客の急激な増加に合わせて、繁忙期前に宿泊施設の内装を大至急リニューアルしたい』など、現金が必要な事態がどれだけ突発的にやってくるのか、また金融機関から融資を得るハードルを越え るのがどれだけ煩雑で面倒なのか、その苦労が痛いほど伝わってきました。今すぐ資金が必要でも、多数の書類を用意して何回も通わねばならず、審査のために 1カ月以上待たねばならないのです。私たちがこの課題に取り組めば、絶対に役に立つと強く感じました」(鬼木氏)
銀行側にも事情がある。少額融資のために専任担当者を付けることはコストに見合わないのだ。中小企業白書によれば、銀行から融資を受けている中小企業は、わずか25%に過ぎない。 「スモールビジネス向けの少額融資サービス」は実質的に存在しなかったのだ。ここに新たな価値創造の芽があった。

情報連携システムのイメージ

情報連携システムのイメージ


金融機関との情報連携システムをわずか3カ月で構築

freee株式会社金融事業部マネージャー山本 聡一氏の写真

freee株式会社
金融事業部マネージャー
山本 聡一氏

資金繰り改善ナビ内で手軽に融資を申し込める「オファー型融資」機能は、以下のような流れになっている。
1.会計 freee のデータを元に「借りられる」融資商品をリストアップ
2.ユーザーが希望に合った金融商品にオンラインで申し込み
3.ユーザー同意後、会計 freee のユーザー情報、財務データが自動連携し金融機関に提供
4.金融機関が確認し、可能だと判断すれば融資実行
すべての仕組みをゼロから構築し、金融機関に認められるセキュリティを担保するには時間がかかりすぎる。そこでfreeeが選んだのは、営業支援・CRMシステムのSalesforceをプラットフォームとして用い、「オファー型融資」の機能をそこにアドオンする方法である。世界的なセキュリティ水準を有し、日本の金融機関でも広く知られているSalesforceならば、迅速な導入が見込めたのだ。
アイデアの実現に向けてセールスフォース・ドットコム社に相談したところ、開発会社として紹介されたのがテラスカイだった。同社は2006年の創業当初から金融機関向けのシステムインテグレーションや、クラウドサービスの導入を手がけている。
開発を依頼したときのいきさつをfreee株式会社金融事業部マネージャー山本聡一氏は、次のように語る。
「テラスカイさんからは、都合のよいことだけではなく、できない部分も含めたリアルなプランを提案してもらえました。また、金融業界の知識も豊富で、信頼できると感じたことを覚えています」(山本氏)
金融機関におけるデータの受け渡しはとてもセンシティブだ。 テラスカイは、Salesforce上に「融資Hub」を構築し、freeeと金融機関がここに接続することで情報を受け渡すアーキテクチャを提案した。このモデルであれば、新たに金融機関が加わっても、Salesforceのモジュールを導入するだけですぐに連携することができる。
開発期間は約3カ月。金融機関が用いるシステムとしては信じられないほどの短期間で、テラスカイによる開発は完了した。 このタイトなスケジュールには、freeeの思想が現れている。
「私たちは『スピード』を最も重視しています。時間をかけて重厚長大なシステムを組み立てるのではなく、必要最低限の機能で完成させ、一刻も早くリリースすることを選びます。なぜなら、本当に必要とされる機能は、ユーザーのフィードバックを得なければわからないからです。この思想を共有できないSIerだと、プロジェクトをうまく進めることはできなかったでしょう。こんなスケジュールを要求したにもかかわらず、テラスカイさんには合理的なシステムを構築していただけました」(鬼木氏)

スモールビジネスと金融機関の両方に、新たな価値を提供

サービスを開始して以降、freeeでは「オファー型融資」を利用したほぼすべてのユーザーに直接電話をして話を聴いているという。
「freee には『一日電話デー』という、ひたすらユーザーの声を聴くための日があります。統計的なデータをマクロ的に見ることももちろん重要ですが、ミクロの視点を持たないと大切なことを取りこぼすと考えているからです。『オファー型融資』に関しては 、使いづらいという声もなく好評で 、今すぐ資金が必要というユーザーに対して我々の価値がうまく届いていると感じます。よいスタートダッシュを果たすことができました」(山本氏)
また、スモールビジネスの経営者だけではなく、金融機関からもサービス連携をしたいという引き合いが相次いでいるという。
「市場がシュリンクしていく中、顧客を拡大するための新しいビジネスとして認知していただいているようです。金融機関側に「融資Hub」のUIを見てもらうと『ああ、だいたい使い方がわかりました』と話が早くて、Salesforceをプラットフォームにした意義を感じます」(鬼木氏)
さらに、Salesforceのレポーティング機能を用いれば、オファー型融資に関する法定帳簿の作成も自動化できる。金融機関側にとっては、手間をほとんどかけずに金融サービスを増やせるというわけなのだ。当初の融資提供パートナーはライフカードと三井住友カードの2社だったが、年内にはさらに追加される予定だ。Salesforceのモジュールを導入するだけで「融資Hub」と金融機関側を連携することができるからこそのスピード感だ。「これまで、スモールビジネスの経営者は金融機関に対して『お願い』する立場でした。しかし、資金繰り改善ナビの登場によって、いろいろな条件の商品から『選ぶ』という対等の関係になったのです。ユーザーと金融機関両方のための、新しい市場を開拓していきます」(山本氏)

さらなる資金繰りの最適化に向けて

資金繰り改善ナビのほかにない利点は、財務状況から融資限度額が試算されるので、事前に「いくら借りれるのか」がわかることだ。事前に「100万円借りることができる」と知っていれば、急な事態への不安を やわらげられる。こうした資金繰りの意識改革を進めていくことが次のステップだと、山本氏は将来を構想する。
「オファー型融資に掲載されているメニューは、少額で短期間なために金利が若干高く設定されています。この点から、少額融資など必要ないという方もいらっしゃいますが、本当にそうなのでしょうか。2,000万円を4%の金利で借りて7年で返済するのと、50万円を10%の金利で借りて3カ月で返済するのとでは、お金の使い方がまるで違います。利子が安くても、借入金を活用せず、無駄に借りていることがあるかもしれません。今後は、資金全体を有意義に使えるような『資金繰り最適化』の支援を進めていきたいと思っています」(山本氏)

【本事例の導入製品・サービス】

Salesforce Platform
ノーコード・ローコードでアプリケーション開発ができる、クラウド型のプラットフォームです。

会社プロフィール

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URL:
https://www.freee.co.jp
所在地:
東京都品川区西五反田2-8-1 五反田ファーストビル 9F
事業概要:
『スモールビジネスを、世界の主役に。』 をミッションに、会計フリー、人事労務フリー等、スモールビジネスの各成長段階をサポートするサービスを提供。
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